低すぎる京町家の台所に木製ワークトップを設置〜中編〜

築100年以上の京町家に住んでいます。
前回はワークトップの骨組みが完成したので、今回はその上に載せる天板を加工していきます。
位置決め
出来上がった骨組みに天板を仮載せしていきます。


天板にはヒノキの集成材を用意しました。
本当は無垢材を使いたかったのですが、この大きさの無垢材天板となるとかなりのお値段。
簡単には手が出せません。
集成材は無垢材に比べて安価なものが多いですが、接着剤が使われているので台所で使うため安全面で少し心配でした。
材木屋さんに聞いてみたところ、注文した集成材はまな板としても使われている安全性の高いものらしいです。

材木屋さんを信じて、今回はこの集成材を天板に使います。
骨組みの上に載せただけですが、ガタ付きはなく安定しています。
水平も問題なし。

天板の位置は決まったので、次はシンクの位置。
シンクを埋め込むため、天板を開口する必要があります。
とりあえずシンクを載せてみます。

上の画像はシンクを横向きに置いた状態。
奥行きのある天板なので、横長のシンクを縦向きにも置けそうだな、と思いました。

縦向きでも置けました。
下の骨組みにも干渉しないので問題なさそうです。
当初は普通に横向きに置くつもりでしたが、縦向きに置いた方が料理スペースを
広く使えそう。。。

天板を開口したら後戻りは出来ないので、かなり悩みます。
決めました!
予定を変更して下の画像のように縦向きに設置します。

シンクの位置が決まったら縁のサイズでけがいていきます。

シンクがかかるよう、シンクの縁のサイズよりも15mm内側に印を付けていきます。

天板を開口する
先ほど印をつけたところをジグソーで切っていき、天板を開口します。

まず、ジグソーの刃を入れるためドリルで何箇所か穴を開けます。



開けた穴にジグソーの刃を入れてカットしていきます。




綺麗にシンクが入る穴を開けられました。
サンディング
天板と骨組みが出来たので、次はサンディングして木材の表面を滑らかにしていきます。
まずは天板から


元々滑らかな仕上がりだったので、240番→400番で軽く磨き上げました。

角は危なくない程度に少し面取りします。
骨組みも120番で軽くサンディング


柿渋塗装
木材の表面が滑らかに仕上がったので、次は塗装していきます。
塗料には柿渋を使います。

柿渋は防水・防虫・防カビ・防腐効果に優れた自然塗料
乾きやすい塗料なので、塗りムラができないよう薄く素早く塗っていきます。



塗った時の色は透明な茶色で、木目がきれいに出ます。
塗料は色々調べましたが、台所に使う塗料としては柿渋が一番かなと思いました。
昔ながらの自然塗料ということで、身体に優しく京町家との相性も良さそうです。

そんな柿渋の唯一の難点は、臭いこと。
渋柿を発酵させて作られており、当然ですが柿が腐ったような臭いがします。
無臭タイプの柿渋が製造・販売されているのも納得の臭いです。
骨組みの方にも塗っていきます。
天板の下も水気・湿気のある所なので、着色用というよりは木材の保護用に柿渋を塗装します。



柿渋は鉄と反応することで黒く変色する塗料です。
ビスを打ったところに柿渋を塗ると、周りが黒ずんでしまい見映えが悪くなります。
埋木をしてビスを隠したのはそのためです。
見えない所とはいえ黒ずみはあまり気持ちの良いものではないので…
次の日

塗って一日経つとこんな感じ。まだかなり薄いですね。
柿渋は時間が経つと徐々に発色していきます。
十分に発色するには3ヶ月ほどかかるそうです。
そんなには待てないので重ね塗りしていきます。


重ね塗りすることで色が濃くなり、耐久性も上がります。


合計3回重ね塗りしました。

無塗装のものと比べるとだいぶ濃くなっています。

塗装が完了しました。
次回はいよいよ仕上げに入ります!
You tubeで動画も公開していますのでぜひご覧ください。
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